今日は浜松の方まで「いちご狩り」ということで、早暁0550に出発。例によってyoppee!がわざわざ迎えにきてくれた。なんでも、今日行く先は午前中しか営業していないのだそうで、それでこんなに早い時間になった。
0715にyuyang宅に着き、そこでクルマをyuyang号に乗り換えて出発。約束の時間よりも少し前倒しできたから、これならば10時半頃には余裕で着いて、もぎたてのいちごをたっぷり食べられる、と思ったのだが。
はうう…まさか東名高速が雪で通行止めになっていようとは。しかたなく西湘バイパスに回り、旧道経由で箱根越えに挑戦するも、路面着雪をクリアできずにあえなく失敗。再びぐるりと迂回して、旧熱函道路から沼津へ出た。
それにしても、今日は混んだ。沼津インターにたどり着いた頃には東名の通行規制はとっくに解除されていて、お昼も過ぎていた。
…さて。
紆余曲折あったものの、午後2時前にようやく目的地である観光農園に到着。
「あのー、今日の午前中って言われてたんですけど…」yoppee!がおずおずと切り出す。「東京から来たんですが、高速が雪で通行止めになりましてね。」
「ああ、そうでしたか。今日はいらっしゃらないんじゃないかと思ってました。」「それで…」「ええ、いいですよ。」ご主人の格別のご厚意により、いちご狩りができることになった。
案内されたハウスは百坪は超えていようかという広大な建物で、山の斜面にしたがって段々になっている。その最下段の一角を与えられて、さあ、戦闘開始。まずは目についた一番大きいいちごをもぎ取って口に運ぶ。
甘っ!
口に入れたらそのままトロトロッと溶けていくような甘さである。そして、わずかに残る酸っぱさが余韻となって、これがまた後を引く。後で銘柄を聞いたら「章姫」とのこと。甘いからコンデンスミルクは必要ない。yuyangもyoppee!も、目ぼしいものを片っぱしからもいでは食べ、もいでは食べている。負けるものか、とこちらのペースも上がる。
格闘すること約30分、久しぶりに美味いものを食べたという満足感と、向こう1ヵ月分のビタミンCを摂取できたような充実感とで、幸福感に包まれて惚けたような表情のオヤジ3人は、ご主人に丁重に礼を述べて農園を後にしたのだった。
甘いいちごを堪能した後は、うなぎ白焼きの販売専門店「山口」でお土産の白焼きを購入。つい蒲焼きのたれも一緒に買ってしまったが、白焼きは生姜醤油で食べるのがいいから、こいつは余計だった。
その後は茶でもしばこうか、yoppee!の推薦でカフェレストラン「Cats-Cafe」へ。ここはパフェでは豊富を通り越して過剰ともいうべきメニュー点数と、ふざけてるのか?とツッコミのひとつも入れたくなるほど過激なボリュームをほこっている。ここでyoppee!はスパゲティとパフェを注文。おいおい、まだ食うのか。
「ホントに貴様はよく食うのう。食うことしか考えとらんのじゃないか?」
「いえ、他にもあります!」
「何かぁ?」
「ハイッ!食べることで頭がいっぱいであります!」
「こいつ、ウマいこと言う。」
ちょっとした寸劇を披露してみたが、yuyangはキョトンとしていた。おいてけぼりにしてすいませんすいません。
「Cats-Cafe」で、yuyangと私はコーヒーを飲みながら、yoppee!は食いながら、次はどこへ何を食べに行くかを鳩首協議。静岡と言えば寿司もおでんもあるけれど、浜名湖ではやはり鰻だろう、ということになった。
「灰汁抜き青うなぎ」とやらの謳い文句に誘われて、「浜章」という店を選択。「良水で4〜5日泳がせて灰汁を抜くため、鰻の状態が良くない日は営業しません」とも書いてあるから、よほど自信があるのだろう。今日は状態が良かったのか開いていた。
結果から言うと、たいへんに美味かった。冬のうなぎは脂の乗りもよくないはずなのに、なんだろう、この乗りは。さすが自慢するだけのことはある。
ところで、yuyangと私は普通に「鰻重」を注文したが、yoppee!は「特上二段」をチョイス。要は普通のお重の上にうなぎだけがもう一段重ねてあるもの。上は白たれ、下は黒たれと、2種類の味が楽しめるしかけになっている。…って、よく食えるなあ。本人は「別腹だから」と言うが、まさに鋼鉄の胃袋だ。
もっとも、さすがのyoppee!もこれだけ食えば持て余し気味だったらしく、白たれの方を少し分けてもらったのでyuyangも私も白たれの味を楽しむことができたのだが、あるいはそこまで計算しての注文だったのかも知れない。
yoppee!が言う。「腹、減ったな。」
「それなら、横須賀あたりで何か食べていきませんか?」とyuyangが提案する。
静岡県は広かった。浜松を後に東名高速を一路東上する我々が、ようやく神奈川県に入って、そろそろ横浜町田で降りようか、という頃のこと。鰻重から約4時間、ちょうどいい感じである。
「『万豚記』にしますか?『五龍(ウーロン)がいいですか?』」
「うーん、どっちも捨てがたいなあ。」
「じゃあ、『万豚記』はどこにでもあるから、『五龍』に連れてってもらっていいですか?」
というわけで、横須賀市は衣笠の駅前にある『五龍』に行くことになった。今日の締めはラーメンか。それもまたいいだろう。
「あ、ここは『ラーメン』とは言わないでくださいね。親爺が気を悪くしますから。」とはyuyangの注意事項。どんな店なのかと思う。理由についての詳しい話はyuyangとyoppee!の間で交わされていたようだが、半分寝ていた私は気づかなかった。
「…さん!renoさん!」
「は、はいっ!」
「タバコ持ったまま寝ないでくださいね。」
「あうう、すみませーん…」
たどり着いた『五龍』は、びっくりするほど汚かった。カウンターも厨房もクソで煮しめたような色合いで、下は土間。暖房も入っていないから室内なのに息が白かった。「店にはビタ一文かけねーよ」と親爺が開き直っているように見える。が、常連客であるyuyangによると、前はボロボロだったのれんが新しくなっていたし、寄りかかるのもイヤだった壁も白く新しくなっていた、とのこと。必要最低限の措置はなされているらしい。
yuyangのオススメにしたがい、タンメンと水餃子を注文。確かにメニューには「ラーメン」もしくは「拉麺」またはその類義語の文字はない。親爺は結構な歳に見えるががっしりとした体格で眼光炯々、ヘタにご機嫌を損じるとガンドウの一つも飛んできそうな感じがしたが、笑うと何とも言えない愛敬があって、そして非常に能弁である。「あれ?いつもはムスッとしてるのになあ。今日は機嫌が良かったなあ。」とは店を出た後のyuyangの弁。
「ニンニク入れる?明日は(日曜で)休みだから、たくさん入れても大丈夫だよな。な。」
「はい」という返事以外の選択肢がない質問を交えつつ、タンメンはできあがっていく。
…美味かった。「ウチはねえ、昔ながらの『本物の味』なんだよ。」と親爺が目を細める。んー、この味は入れ過ぎたニンニクの香りなんだけど(笑)、それを差し引いても美味かった。水餃子も「中国の人は、こうやって食べるんだよ。」と称する食べ方を伝授してもらった。なるほど、そうやって食べると美味しい。同行者達の手前、お酒を飲むわけにはいかないのが残念なくらいだが、水餃子と焼餃子で白乾児でも飲み、麺類で締めたらシアワセかも知れない。
店を出る頃には体がポカポカと暖まっていて、なるほど、暖房が要らないのも、それはそれで道理だったのだろう。あるいは「この道ン十年」の達人が放つオーラだったのか。